同社は、傘下に複数の事業会社を抱える持株会社（建材卸売業）。取引先はグループ合計で2,000社を超える。この2,000社のなかには、グループ傘下の複数の事業会社と取引を行う共通取引先が多く含まれている。
 
当時、取引に関する各種情報は、各事業会社によって個別に管理されていた。共通取引先が多いことはもちろん部として認識しており、それを要因とした作業重複が生じていることに課題意識を持っていた。しかし、効率化を進めるうえで、各事業会社が持つ大量の取引先データを一本化する 「名寄せ作業」 がボトルネックとなっていた。
 
さらに、取引先の与信判断についても各事業会社が独自の基準で行っていたため、共通取引先に対する評価が定まっていない状態であった。営業担当者の与信管理に対する意識も、各社により大きく差が生じていた。
 
そのような中、大きな貸倒が頻発。早急に与信管理体制の見直しが必要となった。そこで、グループ内での取引先評価指標の統一と、情報共有を行う仕組みの構築に着手した。

・　取引先データの整備（名寄せ）
・　SMART与信管理サービス（与信管理ASP）
　　※ 主に利用中の機能
　　　・　取引先ファイルにおける一元管理
　　　・　国内企業の格付取得
　　　・　適正与信額の参照）
　　　・　与信管理基礎研修

取引先データの整備（名寄せ）

各事業会社が保有する取引先データ（商号、住所、電話番号、代表者名等の情報を一覧化したもの）を同社から受領。これを基に、当社にて、同一法人のデータを特定の企業コードに集約する「名寄せ作業」を行った。
 
この「名寄せ作業」により、グループ傘下の事業会社間で、取引先に関する情報共有を行う素地が整った。

審査基準と取引先評価指標の統一

さらに、「名寄せ作業」を行い一本化した取引先リストを「SMART与信管理サービス（以下、SMART）」に一括登録し、取引先のあらゆる情報を一元管理する体制を整えた。
 
加えて、各取引先に当社が提供する信用格付「MCC格付」を付与し、取引先を評価する際の判断基準とした。
 
明快かつ客観的な基準として「MCC格付」をグループ内に浸透させることで、格付が社内共通語となり、評価指標の統一化が実現した。

運用ルールの説明会

与信管理に関する運用ルールを現場に定着させるため、各事業会社の営業担当者・審査担当者を対象に、与信管理基礎研修を実施。複数回の研修を通じて、与信管理に関する意識の醸成と、格付制度運用ルールの定着を図った。
 
のちに同社のご担当者様からお話を伺ったところ、上記の研修・説明会の実施に関する提案が決め手となり、当社サービスをご導入いただいたとのこと。

導入効果

・「名寄せ作業」 により、グループ各社が個別に保有する取引先リストが一本化された。
・ 取引先の評価する上での評価基準が明確化され、審査にかかる時間・コストが減少した。
・ 取引先に関するあらゆる情報を一元管理できるようになった。
・ 営業担当者の与信管理に関する意識が高まり、与信審査がスムーズに行われるようになった。