VIEW MORE
与信管理の知恵袋 Vol.15 与信限度額(与信枠)の見直し
こんにちは。MCC与信管理ラボ編集部です。
与信管理は、原則として、取引開始時だけではなく売掛金が回収されるまで継続して行われます。
さらに言えば、今後もその企業と取引を続けていくのであれば、与信限度額(与信枠)について都度見直しを行うことで取引リスクを軽減することができます。
今回は、「与信限度額(与信枠)の見直しの必要性」と、「与信限度額を見直す際のチェックポイントやタイミング」について解説します。
この記事で分かること
・ 与信限度額(与信枠)の見直しを行う理由(重要性)
・ 与信限度額(与信枠)を見直す際のチェックポイント
・ 与信限度額(与信枠)を見直すタイミング
与信限度額(与信枠)の見直しが必要な理由
ビジネスを取り巻く環境は日々変化しています。
取引先が大企業や経営状況が安定している企業であったとしても、状況が一変する可能性もあるため、与信限度額(与信枠)を見直すことが重要です。
そもそも、すべての与信取引において、未回収債権が発生するリスクはゼロにすることができません。
与信限度額(与信枠)を設定するのは、取引先企業の信用情報や取引量を精査した上で、そのタイミングにおいてもっとも適切な条件で与信取引を行うためです。
したがって、取引開始時に設定した与信限度額(与信枠)については、状況の変化に合わせて見直さなくてはなりません。
与信限度額(与信枠)を見直す際のチェックポイント
与信見直しの際に確認する項目は、取引開始時の与信審査と基本的には同様です。
加えて、取引状況の変化にも目を向けましょう。
取引実績の中で、決済条件・取引条件が遵守できているかについては確認が必要です。
取引開始時に比べて取引額や取引量に変化がないかを確認し、慎重に判断をしましょう。
また、取引先企業の財務状況に変化がないかについても調査を進めてください。
※与信審査を行う際のチェックポイントをまとめた記事はこちら
与信限度額(与信枠)を見直すタイミング
与信限度額(与信枠)の見直しについては、定期的な見直し、都度見直しと2つのタイミングがあります。
与信限度額(与信枠)の見直すタイミング1:定期的な見直し
与信限度額(与信枠)は、最低でも年に1回の見直しが必要です。
見直し時期は取引先企業の決算期における決算書の開示時期が目安になります。
たとえば、3月に決算を行う取引先の場合には、6月頃になります。情報を収集してから見直しを開始し、3カ月後の9~10月頃には新たな与信限度額(与信枠)を決定しましょう。
取引先企業の数が増えれば増えた分だけ手間が大きくなります。
そのため、社内で対応期限や一定の与信見直しルールを定め、スムーズな管理に努めてください。
なお、自社にとって該当取引が売上全体の大部分を占めている場合や、要注意と認識している取引先企業の与信限度額(与信枠)については見直しの期限を短縮したり、見直しの回数を増やしたりすることで、管理レベルを上げることが求められます。
与信限度額(与信枠)の見直すタイミング2:都度見直し
定期的な見直しに加え、以下のようなタイミングには都度見直しを行います。
①取引金額が増加した場合
取引金額の増加は、債権残高及び貸し倒れのリスクの増加を伴います。
事前に決定した与信限度額(与信枠)を超えた取引を取引先企業から要請された場合には、与信審査や調査を行った上で、与信見直しを実施します。
②支払い遅延が発生した場合
資金繰りの悪化などによって、取引先企業からの売掛金支払いが遅延した場合、信用が低下することになります。
このようなときは、与信限度額(与信枠)の縮小を検討します。
③取引先企業の信用力が低下した場合
自社だけでなく、他社との取引で高額の焦げ付きが起こっていたり、支払い遅延などが発生していたりする取引先企業は、大きく信用力が低下しています。
この場合は、自社取引にも影響を及ぼす可能性が高いため、与信見直しを行います。
与信管理で重要なポイントは、こうした事象が発生した際に、きちんと与信管理担当者へ情報が入ってくる体制を構築しておくことです。
そのため、与信見直しの第一歩は、正確な情報のタイムリーな入手・把握と言えるでしょう。
おわりに
今回は与信限度額(与信枠)の見直しについてご紹介しました。
与信管理の本質は貸し倒れリスクの低減です。
取引先企業の取引状況や信用度は、時間とともに変化します。
与信限度額(与信枠)の見直しは必須事項と言えるでしょう。
柔軟に与信限度額(与信枠)を適正化していくことが、安定した経営および売上の最大化を実現するポイントとなります。
資料請求をされた方に『倒産徴候のチェックポイント』をプレゼント!
※資料のご請求(無料)はこちらからお申し込みください。