VIEW MORE
与信管理の知恵袋 Vol.11 債権保全で貸倒れ・不渡りを回避
こんにちは。MCC与信管理ラボ編集部です。
小切手・手形は、ともに企業間の与信取引で利用されることが多い方法です。
受け取る側にとっては確実性が高い決済方法ですが、支払う側の経営状況によっては「不渡り」になってしまうことがあります。
今回は、不渡りの基礎的な知識や、貸倒れ・不渡りを回避するための債権保全策や対応策についてご紹介します。
この記事でわかること
・「不渡り」とは?
・ 不渡り手形や不渡り小切手が発生した場合の対応策
・ 小切手・手形を使用した与信取引において、貸倒れや不渡りの発生を防ぐための債権保全策
不渡りとは?
与信取引において発行される小切手・手形はどちらも「支払いを約束する書面」ですが、手形はすぐに現金化できず、出金可能となる日付が設けられているという違いがあります。
通常、小切手・手形は金融機関に提出することで現金化が可能です。
ただし、支払元の企業に十分な資金がない場合もあります。
支払元企業の資金不足により、小切手・手形の金額を受け取れなくなってしまう状態を「不渡り」と呼び、不渡りの状態になると、小切手・手形の換金を依頼した企業に不渡りの通知が届けられます。
当然ながら、不渡りは小切手・手形を受け取る企業にとって避けたい事態です。
不渡りの被害を減少させるために、全国銀行協会は不渡りを出した企業に対して重いペナルティーを設けています。
半年間に2度の不渡りを起こした場合は、当座預金の取り扱いを拒否されます。
企業にとっては、事実上の倒産といえる状態です。
不渡小切手・不渡手形が発生した場合の対応策
不渡小切手・不渡手形が発生したとしても、打つ手がないわけではありません。
不渡り発生時に、受け取る側ができる対応策をご紹介します。
対応策1:裏書人に遡求する
小切手・手形には支払元の企業以外にも、社名や人名が記載されているケースがあります。
表面に記載されているのは債務者である人名・社名で、裏面に記載されている人名・社名は「裏書人」と呼ばれます。
裏書人は事実上の保証人のような立場です。不渡りが起きた場合、債権者である企業は裏書人に対して請求ができます。
この請求のことを「遡求(そきゅう)」と呼びます。
対応策2:債務者に訴訟を起こす
小切手・手形に裏書人が記載されていない場合、または裏書人が支払いを拒否している場合など、上述した遡求ができないケースがあります。
そうしたケースでは、裏書人を含む債務者に対して民事訴訟が可能です。
通常、不渡り時に債権者の落ち度は考えられないため、訴訟では債権者が勝利します。
問題は、債務者となる取引先が倒産しているケースです。
この場合は、既に債務者は回収可能とみられる財産を保有していないと想定されるため、請求額に関わらず債権回収は困難です。
ただし、債務者が倒産しておらず、多少なりとも財産がある場合、差押えによってある程度請求額を回収できます。
そのため、不渡り時の訴訟は可能な限りスピーディーに行う必要があります。
貸倒れ・不渡り発生を回避するための債権保全策
債権者には、不渡りの発生による貸倒れリスクを回避するための対策が求められます。
小切手・手形を使用した与信取引において、事前に講じておくべき債権保全策をご紹介します。
債権保全策1:廻り手形の発行
廻り手形は、解りやすく言うと第三者振出の手形を取引先企業に裏書してもらった手形のことです。
廻り手形を取引先企業に発行してもらえば、取引先企業が裏書人となる保証効果が期待できます。
また、1つの取引先企業に継続して廻り手形を発行してもらえば、裏書人の変化に注目することで取引先企業の販売先についてモニタリングが可能です。
債権保全策2:与信管理の徹底
小切手や手形のように支払いの強制力が強い与信取引でも、与信管理は不可欠です。
取引先企業の経営状況や他企業との関係性に注視し、取引の可否や与信限度額(与信枠)を厳正に判断しましょう。
おわりに
小切手・手形の不渡りは、与信取引において避けなければならない事態の1つです。
不渡りが発生した場合の対応策を理解しておくとともに、今回ご紹介した対応策や債権保全策を日常的に行い、貸倒れのリスクを最小限に抑えましょう。
資料請求をされた方に『取引信用保険・信用保証トレンドレポート』をプレゼント!
※資料のご請求(無料)はこちらからお申し込みください。
債権保全に関する記事
債権保全とは
債権保全サービスのメリット・デメリット
債権保全で貸倒れ・不渡りを回避
債権保全策の検討~リスク移転の観点から~
債権保全が必要な理由
債権保全と中小企業倒産防止共済