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与信管理の知恵袋 Vol.9 与信管理を担当する部署
こんにちは。MCC与信管理ラボ編集部です。
従来、事業会社の与信管理業務は、審査部と呼ばれる専門部署が担当していることが多かったと思われます。
しかし、近年、倒産件数の減少や与信管理ツールの高度化等を背景に、与信管理の専門部署を設ける事業会社は少なくなってきています。
今回は、審査部を置かない(置かなくなった)事業会社では、与信管理業務をどのような部署で担当しているかをご紹介します。
与信管理業務を担当する部署①:経理部
経理が与信管理を担当するのは、売上債権(売掛金・受取手形等)が期日通りに決済されているかを重視する場合によく見られます。
これは期日管理と呼ばれるもので、債権管理を行う上でもっとも基本となる業務の一つです。
代金が期日通りに入金がされない場合、取引先企業が資金繰りに行き詰っている懸念があり、倒産兆候のひとつと言えます。
また、仮に資金繰りには困っていないとしても、たびたび支払期日を遅延する取引先企業は内部管理になんらかの問題を抱えていると言ってよいでしょう。
そこで、入金情報を日ごろから確認している経理が信用変動を調査するため、与信管理を担当することになります。
他にも、与信管理業務の中では財務分析が重要な業務となります。
しかし、一般的に、財務分析は他部署で経験することが少ない業務であることから、「財務データを扱うこと比較的抵抗感が少ない経理で担当する」 という理由もよく聞かれます。
与信管理業務を担当する部署②:営業管理部(営業推進部、営業統括部など)
営業管理部は、営業部門全体の業務や動きを管理し、それぞれの営業担当者が目標を達成できるように支援を行います。
営業部門が未回収債権の発生による損失の責任を負い、リスクとリターンをコントロールすることを重視する場合に、営業部門全体の管理の一環として営業管理が与信管理を担当することが多いようです。
売上や利益目標を持ちながらリスクとリターンをコントロールしているため、与信管理や債権管理にかけるコストを決め、加えて営業担当者目線に立った使いやすいツールの選定を行っています。
近年では、この「営業管理が与信管理を担当するケース」が特に増えてきたように感じます。
与信管理業務を担当する部署③:総務部
「業界がある程度成熟しているため、新規の与信取引はほとんど無いか数件程度。既存の取引先も少数で経営が安定している。加えて、倒産や貸倒れもほぼ発生していない。」
このような場合、総務で与信管理を担当している企業が一定数あるように思われます。
また、与信管理にかけるコストも必要最低限の対応だけを行っていることが多いようです。
たとえば、大口取引先であっても信用調書を取得することがほとんどありません。
興信所を利用する際は、取引先企業の概要だけがまとめられた1枚ものの信用情報を取得するだけに留まります。
与信管理業務を担当する部署④:法務部
取引先企業の倒産によるリスクよりも契約内容によるリスクが大きくなるような業界において、法務が与信管理も担当する場合があります。
特に、建設現場等に関連するビジネスを行う企業において、こういった体制で与信管理を行う企業がよくみられます。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
冒頭に記載したとおり、与信管理業務に特化した審査部門をおく事業会社は、一部の大手企業をのぞくと減りつつあるようです。
良好な経済状況が続けば、貸倒れリスクが顕在化する場面は減ってきますし、実際に倒産件数や負債総額はここ数年低水準で推移しています。
しかし、与信管理業務がまったく不要となる訳ではありません。
日本経済と世界経済とのつながりが深まっている昨今、かつてのリーマンショックのような急激な経済環境の悪化が起こらないとは言い切れません。
与信管理に割り当てるコストやマンパワーの適正化は継続して行うべきですが、過去から社内に蓄積されてきた与信管理のノウハウが失われないように注意しましょう。
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