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与信管理の知恵袋 Vol.6 与信管理の仕事内容(前編)【 信用情報の収集・分析 】
こんにちは。MCC与信管理ラボ編集部です。
与信管理と一口に言っても、さまざまな業務が含まれています。
そして、それぞれの業務がリスクマネジメントの観点から非常に重要な役割を担っています。
しかし、与信管理業務に初めて携わる方にとっては、その全体像を把握することが難しいかもしれません。
今回は、与信管理の仕事内容を前編、後編に分けて具体的に解説します。
この記事で分かること
与信管理担当者が行う業務の全体像と、それぞれの業務内容(概要)を把握できます。
前編 信用情報の収集と分析
特に企業取引の「入口」で重要な、与信審査や取引先の信用調査について解説します。
前編「信用情報の収集と分析」の主な内容
・ 信用情報の収集方法について
・ 信用情報の分析手法について
後編 与信判断、モニタリング(常時信用変動の調査)、営業部門からの個別相談
新規取引時に特に重要となる「与信判断」と「与信限度額の設定」、継続取引を行う際に重要となる「モニタリング(常時信用変動の調査)」について解説します。
後編「与信判断、モニタリング(常時信用変動の調査)、営業部門からの個別相談」の主な内容
与信判断
・ 与信限度額(与信枠)の設定
・ 決済条件の設定
・ 与信の有効期限
・ 担保・保証等の条件、その他の条件
・ 信用情報の分析
モニタリング (常時信用変動の調査)
営業部門からの個別相談
後編の記事はこちら
与信調査・審査:信用情報の収集
与信管理を行うにあたって、与信管理の対象となる取引先企業やその他の団体に関する信用情報が必要になります。
信用情報の収集においては、外部サービスを利用する方法と自社自身で行う方法とがあります。
外部サービスは、信用調書と呼ばれるものです。
これは、興信所(大手では東京商工リサーチ、帝国データバンクが有名※)の調査員が、現地取材を行い、その内容をまとめ上げた信用調査レポートのことです。
1つのレポートに 取引先企業の内容がコンパクトに纏められています。
※大手以外にも繊維業界に強みを持つなど、独自の特徴を打ち出している興信所もあります。
自社自身で行う方法は、具体的には、登記情報、営業からの情報、業界内の風評、web情報(HP、口コミサイトへの書き込み等)が挙げられます。
登記情報は商業登記と不動産登記に分けられます。
商業登記では、商号や本社住所の変化、役員の入れ替わりに特に注意が必要です。
不動産登記においては、与信管理対象先の資産状況、銀行からの借入れや担保設定状況、税金の滞納状況などに注意が必要となります。
営業からの情報とは、自社の営業担当者が取引先企業の本社や関連施設を訪問した際に、担当者自身がチェックをしたり、ヒアリングしたりした情報です。
例えば、取引先企業の商品在庫量の増減、社員の頻繁な入れ替わり、雰囲気の変化等のことです。
業界内の風評は、取引先企業の経営状態の悪化、不正や法律違反に関する悪い噂となります。
web情報(HP、口コミサイトへの書き込み等)については、手軽に得られる反面、情報の精度においては十分に精査をする必要があります。
これらの信用情報を集めることが、与信管理業務の第一歩になります。
与信調査・審査:信用情報の分析
収集された信用情報の分析手法は、主に定性分析と定量分析に分けられます。
定性分析は、数値化できない要因を対象とし、定量分析は数値化される要因(主に決算書)を対象としています。
定性分析の内容(一例)
定性分析の具体的内容の一例としては、以下の様なものです。
- 経営者の能力(人格、先見性、計数管理能力、健康状態など)
- 業界自体の将来性や安定性(将来の需要は見込まれるか、海外製品との競合、規制強化など)
- 後継者・幹部社員(後継者の能力、有能な幹部社員の有無など)
- 事業資産の状況(工場、物流施設等が陳腐化していないか、競争力の有無など)
- 取引先企業の状況(安定かつ優良な販売先や仕入先を確保しているか)
- 金融機関との取引状況(メインバンク、準メインバンクとの取引年数や関係性)
定量分析の内容(一例)
定量分析の対象は主に決算書となり、以下に分析する項目の一例をご紹介します。
安全性分析(短期安全性・長期安全性)に関する項目
自己資本比率
総資本に占める自己資本の割合。財務の安全性が確認できる。
流動比率
流動負債に対する流動資産の割合。高いほど短期的資金繰りに余裕がある。
当座比率
流動負債に対する当座資産の割合。高いほど短期的資金繰りに余裕がある。
固定長期適合率
固定資産が自己資本と長期返済資金でどの程度賄われているかを示している。
効率性分析に関する項目
売上債権回転期間
売上計上から代金回収までの期間を分析する。
棚卸資産回転期間
材料調達→生産→在庫→販売に要する期間を分析する。
収益性分析に関する項目
各利益率
各段階(営業・経常・税引前後)の利益率を分析する。
取引先企業の収益段階のどこに問題があるのかを見極めることが重要。
経常収支比率
経常的な営業活動からの収入で運転資金増加分をまかなえているかをみる。
おわりに
上記の通り、与信調査・審査において様々な方法で信用情報の収集・分析を行うことで、取引先企業の実態やリスクを把握することが可能となり、与信管理における重要な業務となります。
「与信管理の仕事内容/後編(与信判断、モニタリング(常時信用変動の調査)、営業からの相談)」に続きます。
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