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与信管理のプロが教える財務分析のしかた Vol.2 財務比率における注意点(流動比率、当座比率)
こんにちは。MCC与信管理ラボ編集部です。
今回は企業の流動性(短期安全性)を読み解く上で重要な2種類の財務比率についてお話します。
流動性(短期安全性)を表す指標(一例)
企業の流動性(短期安全性)を表す財務比率として、主に、以下の3つが挙げられます。
- 流動比率
- 当座比率
この2つの財務比率について詳しく見ていきます。
流動比率
まず、流動性を表す比率のうち、流動比率についてお話します。
流動比率の計算式
流動比率は、下記の計算式で求められます。
流動比率 = 流動資産 ÷ 流動負債 × 100
流動比率の読み解き方
流動比率は、返済期限の短い負債(流動負債)を、すぐに資金化できる資産(流動資産)で賄えるかを見る指標です。
流動資産には売掛金や受取手形、棚卸資産や短期保有の有価証券等が該当し、流動負債には買掛金や支払手形、短期借入金や未払金等が該当します。
一般的な目安として、200%以上だと安全で、100%以下だと資金繰りに不安があると言えます。100%以下の場合、全ての流動資産を資金化しても、流動負債を完済できない恐れがあるからです。
分析する際の注意点
ただし、流動資産の中には、特に回収が遅れていたり、価値が劣化している資産が含まれていたりすることもあるため、流動比率のみでは、正確な資金の流動性・安全性の把握は不十分と言えます。
その理由は、流動資産において事実上の資産の水増しが度々行われることがあるからです。
たとえば、売掛金に不良債権や不渡手形を含めることは散見されますし、不良在庫を棚卸資産にそのまま残していたりするケースも多々あります。
また、短期借入金の返済期限よりも、見合いの売掛金の入金が遅いのであれば、計算上の流動比率が安全圏であっても、決して資金繰りにゆとりがあるとは言えません。
このように、単に流動比率の把握に留まらず、企業の実態をよく確認することが肝要ですので、留意ください。
当座比率
当座比率も流動比率と同様、資金の安定性を見る重要な指標です。
当座比率の計算式
流動比率は、下記の計算式で求められます。
当座比率 = (流動資産 - 棚卸資産) ÷ 流動負債 × 100
当座比率の読み解き方
流動資産には棚卸資産も含まれるのですが、当座比率を計算する際には、更に棚卸資産を除き、より換金性の高いと見られる現金預金、売掛金、受取手形、有価証券を対象とします。
なぜなら、棚卸資産には、陳腐化した資産や売れ残りの製品等の不良在庫が含まれるケースが多く、当座比率を把握する際には、短期間での返済を要する負債について、如何に換金性の高い資産を保有しているかを確認することが求められるからです。
従って、流動比率が高い場合でも、流動比率だけでもって判断するのではなく、当座比率と合わせて確認し、より実態に沿った資金の流動性の判断を行うことが重要です。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
各財務比率の算出方法には諸説ありますが、今回は、代表的なものをご紹介しました。
お取引先の流動性の変化について、注意深くモニタリングしていきましょう。
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