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与信管理のプロが教える財務分析のしかた Vol.1 財務比率における注意点(売上高総利益率、総資本事業利益率、経常収支比率)

財務比率を計算する電卓

こんにちは。MCC与信管理ラボ編集部です。
今回は、企業の収益性を読み解く上で重要な3種類の財務比率についてお話します。

与信管理で企業の収益性を確認する理由

収益性を見ることで、対象となる企業が、企業活動に要した費用と比べてどれほどの収益を上げているのかを確認できます。
収益性が低い場合、企業の採算性が低下していることになり、企業活動の継続性に懸念が生じる可能性があります。

収益性を表す指標(一例)

企業の収益性を表す財務比率として、主に、以下の3つが挙げられます。

  • 売上高総利益率
  • 総資本事業利益率
  • 経常収支比率

この3つの財務比率について詳しく見ていきます。

売上高総利益率

まずは、収益性を表す比率のうち、売上高総利益率についてお話します。

売上高総利益率の計算式

売上高総利益率は、下記の計算式で求められます。

売上高総利益率 = 売上高総利益(粗利益) ÷ 売上高 × 100

売上高総利益率の読み解き方

売上高総利益率は、文字通り売上高に占める売上総利益(粗利益)の割合を見る比率です。

売上高総利益率が高い程、収益性が高いと言えますが、単期ではなく、連続期で比較したり、同業他社や業界水準と比較することが重要となります。
同様の比率として、売上高営業利益率や売上高経常利益率がありますのでチェックしてみて下さい。

総資本事業利益率

つぎに、総資本事業利益率についてお話します。

総資本事業利益率の計算式

総資本事業利益率は、下記の計算式で求められます。

総資本事業利益率 = {(営業利益 + 受取利息 + 配当金等) ÷ 総資本 - (支払利息割引料 ÷ 有利子負債)} × 100%

総資本事業利益率の読み解き方

総資本事業利益率は企業の事業活動でどれくらいの利益を獲得したかを表しており、収益性を示す重要な指標となります。一般的に高いほうが良いと言えます。

当社では、事業活動で得られる利益を営業利益、財務活動で得られる利益を受取利息・配当等とし、更に支払利息や割引料を加味していますが、営業利益の代わりに税引後利益や経常利益を利用したり、支払利息や割引料まで加味しない場合もあります。

経常収支比率

さいごに、経常収支比率についてお話します。

経常収支比率の計算式

経常収支比率は、下記の計算式で求められます。

経常収支比率 = 経常収入 ÷ 経常支出 × 100%

経常収支比率の読み解き方

ここでの「経常収入」には、売上高や営業外収益、売上債権の増加分が対象となり、「経常支出」には、売上原価や販管費、営業外費用、仕入債務や棚卸資産の増加分、更には配当金や法人税、退職給与引当金の増加分等が対象となります。

経常収支比率は、総合的な現金収支・資金繰りを見る指標であり、経営活動による収入で、当期の運転資金を賄えているかをチェックできる重要な指標です。
一般的には100%以上が望ましく、85%以下であれば要注意となります。

また、期末が休日の場合は注意が必要です。
通常の企業では、期末が休日の場合、仕入債務の支払日は翌営業日になります。
その結果、期末時点では実態よりも多額の仕入債務残高が計上され、経常収支比率が高くなるからです。
このような場合は、期末の仕入債務残高より翌営業日に支払われる仕入債務を差し引いた上、経常収支比率を把握する必要があります。

しかし、取引先から詳細な決算書を取引先から入手できない場合は、どのように経常収支を把握すれば良いのでしょうか?

そこで簡易に経常収支を把握する方法をご紹介します。計算式は下記の通りです。

経常収支 ≒ 経常利益 + 非資金費用等 – 運転資金の増減分

ここでの””非資金費用等””とは、減価償却費等のキャッシュを必要としない費用が該当し、””運転資金の増減分””とは、売上債権や棚卸資産より仕入債務残高を差し引いた金額が該当します。B/Sの2期分さえ入手できれば、おおよその経常収支の算出が可能です。

おわりに

いかがでしたでしょうか。
各財務比率の算出方法には諸説ありますが、今回は、代表的なものをご紹介しました。
企業活動を継続していくためには、一定以上の収益性を確保することが重要です。
お取引先の収益性の変化について、注意深くモニタリングしていきましょう。

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