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与信管理の知恵袋 Vol.3 与信審査の重要性と方法
こんにちは、MCC与信管理ラボ編集部です。
与信管理を行う際には、新規取引先の与信審査に始まり、与信枠の見直し、代金が回収できるまで継続的な監視(モニタリング)等、プロセスごとにさまざまな対応が必要となります。
今回は、与信管理の中でも初回の重要な工程である「与信審査」について、その重要性や審査を行う際のポイントを解説します。
与信審査とは?
取引先企業の情報を調査し、取引の可否や与信限度額(与信枠)などを判断することを与信審査、または与信判断といいます。
「与信」は相手に信用を供与することを指し、与信審査ではまず取引を行って問題ないかを判断する信用調査を実施します。
与信審査の結果、取引可の判断をした場合に、与信限度額(与信枠)、与信期間を適正に設定するというフェーズに移ります。
リスクマネジメントにつなげる与信審査
売掛における焦げ付きや貸倒れは、企業に大きな損害を与える可能性があります。
取引先の倒産が引き金となり、連鎖倒産してしまう企業も少なくありません。
こうしたリスクを排除・低減する取り組みが与信管理であり、与信審査は最初に適正な判断をするべきという視点ではもっとも重要なプロセスです。
与信審査で取引先企業を適正に判断することは、取引開始後のリスクマネジメントにつながりますが、その判断においては客観的で公正な判断基準を設定する必要があります。
その上で、信用調査において、自社が許容可能なリスクレベルを把握し与信可否を判断することで、売上や利益増加に対しての機会損失を防ぎます。
さらに、その基準に基づいた与信限度額(与信枠)を設定することにより、過大な与信や債権の過度な集中を回避することが可能です。
そうすることで、取引先企業の倒産など不測の事態が起こった場合でも、損失を最低限に抑えることができます。
適切な与信審査の方法と審査を行う際のポイント
適切な与信審査を行うには、どのようなポイントを押さえれば良いのでしょうか。
代表的な3種類の分析手法と合わせて解説します。
分析手法1:定量分析
定量分析とは、数値で取引先企業の経営状態を把握する手法です。具体的には、3種類の決算書を分析します。
定量分析のポイント1:貸借対照表(B/S)の分析
企業の財政状況を示しています。
なかでも純資産、流動資産、流動負債が把握できる点に注目してください。
特に純資産がマイナスの場合は債務超過の状態であるため安定性に欠けます。
また、流動資産と比較して流動負債が大きい場合も、十分に注意しなくてはなりません。
定量分析のポイント2:定量分析の損益計算書(P/L)の分析
企業の営業実績を数値として示す資料です。
売上総利益、営業利益、経常利益等の利益の状況が重要な判断材料となりますが、それらの各利益がマイナスであったとしてもその要因や影響、好転の可能性などを把握することが大切です。
定量分析のポイント3:キャッシュフロー計算書(C/F)の分析
企業の資金の流れを示す財務諸表です。
営業活動、投資活動、財務活動によるキャッシュフローの3種に分かれます。
営業活動によるキャッシュフローは、本業の事業でどれだけ稼いだのか、つまり本業の調子を表しているため、必ず最初に確認するようにしましょう。
決算書はそれぞれの分析も重要ですが、それだけではなく、総合的な視点から分析・調査することが大切です。
また、決算書を分析する際には過去の決算書や業界内の他社との比較など、さまざまな評価の切り口をもつとより精度の高い分析ができます。
分析手法2:定性分析
数値のみでは測りきれない情報についての調査です。
定量分析と併用することにより、取引先企業の内情が見えてきます。
定量分析を行おうとしても、決算書を取得できるとは限りません。こうした場合には、定性分析がより重要になってきます。
定性分析のポイント
調査レポートを取り付け、代表者や資本背景(株主・出資比率等)、企業の風評などを調査します。
分析手法3:商流分析
取引先企業が扱う商品やサービスについて、仕入れ先から販売、納品期間・場所、決済に至るまでのフローを調査します。
商流分析のポイント
全体の商流が業界の商習慣と大きく外れていないかなども確認し、取引条件を設定する際の判断材料とします。
おわりに
与信審査は与信管理における重要なプロセスであり、適正な判断がその後のリスクマネジメントに大きく影響します。
取引先企業について収集した情報に加え、自社の財務内容を考慮した許容可能なリスクレベルを把握し、ポイントを押さえた与信審査を行いましょう。
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