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与信管理の知恵袋 Vol.1 与信管理業務のよくある課題と解決策

与信管理の課題を洗い出し

こんにちは、MCC与信管理ラボ編集部です。

与信管理・リスクマネジメントについてのコンサルティング業を生業としているわれわれが言うのも何ですが・・・

与信管理業務って、営業、経理、財務、法務…などの仕事と比べると掴みどころがなくて、「他社がどうしているのか?(事例)」も見えにくいですよね(そして関連本も少ない…)。

特に、初めて与信管理業務を担当する方は、

「本当にいまの運用でいいの?」
「日常業務は運用できているけれど、自分は何か重要な問題を見落としている…?」
「与信管理のスタンダードって一体…?」


と迷うこともあるのでは?と思います。

当社がお客様からご相談いただく内容(一部)をご紹介すると、

  • 与信管理の重要性は感じているものの、社内の体制整備が進んでいない
  • 業務に追われて与信管理業務を担当するリソースが確保できていない
  • 与信管理のルールを作っても、現場で守られていない

などなど。

今回は、こうした与信管理の課題とその解決策について解説していきます。

与信管理の課題1:与信管理体制が構築できていない

よくあるのが、与信管理が属人化しているケース。

これまで経営者やベテラン営業の勘に頼って与信取引をしてきた経緯があり、与信管理の方法や意思決定プロセスがブラックボックス化している・・・

というお話もよく聞きます。
このような状態が続くと、取引先企業の信用情報や与信判断の基準などが客観的な評価とはならない可能性があるため、組織的に与信管理に取り組む体制を整えましょう。

解決策:まずは定量化と分析から

与信管理体制を構築する際には、取引先企業の信用情報や取引実績を整理・分析するところから始めましょう。

ただし、その評価基準は数値にして定量化し、精度を高めておく必要があります。

その上で、データを分析するフローの整備を行いましょう。加えて、与信管理システムの構築と、経理システムとの連携などを図ります。

与信管理の課題2:取引先企業が多く十分な与信管理ができていない

企業規模が大きくなれば、その分取引先も増えていきます。

「少額の取引も含めると、膨大な数の取引先に対して与信管理をしなくてはならない」

という状況も考えられるでしょう。
この場合、厳密な与信管理を行うためには相当なマンパワーが必要になります。

しかし、与信管理部門にそこまでのリソースを割けず、十分な与信管理ができていないというケースが多く見られます。

解決策:取引金額に応じた与信管理業務の簡素化

数百社にも及ぶ与信取引がある場合、すべてを同じレベルで管理するのは容易ではありません。

そのため、取引金額や債権残高、売上の依存度に応じて、与信管理のレベルを区別することが重要です。

「パレートの法則」では、8割の売上をもたらすのは2割の顧客であると言われています。

したがって、売上上位の取引先企業に対しては重点的な与信管理を行い、リスク度合いの低い取引先企業についてはチェックを簡素化するなど、濃淡管理を行うことで業務負担を大幅に軽減できるでしょう。

ただし、自社の状況に合わせて重点管理する割合を見極める必要があります。

与信管理の課題3:取引先企業の信用情報が悪化した際の判断基準がない

取引先企業からの信用情報が入手できた場合は、与信管理規定に沿って与信判断を行うことになります。

しかし、情報をどのように与信管理に落とし込めば良いのか、その判断基準が分からなければ、適切な与信管理はできません。

また、判断基準を設定する際には、判断を行う上での「客観的な根拠」や「(営業部等への)説明可能性」を考慮する必要があります。

解決策:段階別の対応について事前に策定

信用悪化の段階別の対応を迷わないよう与信管理のルールを事前に設け、状況に応じて格付を決定するようにしましょう。ここで言う「格付」は、取引先企業の信用力を比較するために、一定の基準で取引先企業を評価し、簡潔な記号や数字で分類する方法です。

過去の取引実績や現状の格付けを考慮し、信用情報に変化がなければ現状を維持します。

ただし、信用情報に変動の可能性がある場合は情報収集・調査に努め、その後の状況次第によっては格下げを実施します。さらなる信用情報の悪化を確認した場合は、重点管理先への移動、取引停止の検討が必要です。

与信管理体制を構築する際に、この「格下げ」や「取引停止」を行う基準をあらかじめ定めておくことが重要です。

与信管理の課題4:与信管理マインドが社内で浸透していない

与信管理に関するルールを整備しても、「営業担当者がそれを守れない、もしくは上長が見過ごしてしまう」 というケースがあります。

与信管理マインドが組織全体に浸透していないと、いつの間にか取引に関する大きなリスクを抱え、取引先企業の倒産等の突発的な事象が起こった時に貸し倒れが発生する危険性が高まります。

解決策:与信管理教育を社内で実施

まずは、なぜ与信限度額(与信枠)をオーバーしてしまうなどの事象が起こるのか、その原因を究明しましょう。

よくあるのは、そもそも与信管理のルールと実際の取引状況が乖離しているケースです。
与信限度額(与信枠)が実取引と比較してあまりにも小さすぎる(厳しすぎる)と、実際の運用に馴染まず、与信限度額運用に関するルールが形骸化してしまうことがあります。

また、与信管理マインドが社内で浸透していない場合、与信管理への意識が薄く目先の利益を優先する営業活動が慢性化しているなどの状況が考えられます。社員一人一人が与信管理の目的と方法を認識した上で業務に取り組めるよう、与信管理教育を実施することが重要です。

おわりに

与信管理に関わる課題は企業ごとに異なります。自社が抱える問題を把握・改善することは、リスクの低減および経営の安定につながります。与信管理に関わる方は、まずは現状の課題の共有を社内で始めてみませんか?

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