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与信管理の知恵袋 Vol.37 担保について
こんにちは。MCC与信管理ラボ編集部です。
担保には様々な種類がありますが、取得する際は、担保価値に変動が少なく、処分も容易な担保の取得を心がけることが大切です。
取引先が倒産してしまった場合に、実際に担保として処分が可能であるか、処分が実行されたときの価値はどれほどか、等をしっかり考えて「担保価値」を算定しておくことが大切です。
今回は、担保の種類と特徴についてご紹介します。
現金・預金担保
担保の種類の中でも、「保証金担保」や「銀行預金担保(質権)」は、現金を担保とするものとして一番確実な担保に挙げられます。
こうした担保は、実際に取得することがなかなか難しいですが、取得後に担保の価値がぶれず、担保の処分も容易です。
物的担保
物的担保として代表的なものには、「不動産担保(根抵当権設定)」と「有価証券担保(株式譲渡担保)」が挙げられます。
不動産あるいは株式を担保とする場合は、実際に売って資金化できるかどうかが重要なポイントになります。
物的担保を取る際は、その実行性と担保価値に注意しましょう。
不動産を競売する場合は、市場価格より低い価格になってしまうことがあります。
そのため、物件がどういう状態であるかをきちんと自分の目で確かめておくことが重要です。現地に行ってみたら、その不動産担保が崖だったという事例もあります。
株式についても、上場株式であれば処分の実行は比較的容易ですが、実行時にいくらで売れるかはわかりませんので慎重に判断する必要があります。
その他の物的担保としては、「売掛金(債権)」、「商品(集合物担保)」、さらには「ゴルフ会員権」を担保(譲渡担保)に取る場合もあります。
こうした担保は、法的・事務的な手続きが複雑であるため、あらかじめ、司法書士や弁護士等の専門家に相談しながら検討しましょう。
人的担保
人的担保とは、相手先の社長等から取る「連帯保証」です。
担保物が特定されていないため、実際に処分する際の実行性の面では物的担保に劣ります。
特に保証が「包括根保証」の場合には注意が必要です。
「包括根保証」とは、「金額の定めなく、保証債務の範囲も包括的で、期限もない(自動更改で自動延長されるケース等)」保証をいいます。
法改正により「貸金等の保証(個人保証に限定)」の場合は、「包括根保証」に対して一定の制限が付されることになりました。
個人保証を取り付ける場合は、「包括根保証」の形をとらず、「保証極度額(上限枠)を定める」「期限に自動更改という形は取らず保証期間を限定する(最大5年程度)」といったように、ある程度の限定的な保証とすることが求められます。
保証の実行(保証契約に基づく保証人への支払いの請求)は、保証人が請求に対してすぐに対応された場合は、問題が起きませんが、個人の財産に多大な影響を与えるため、支払いに対して抵抗にあうことが多くあります。
さらに、お金として手に入れるまでには、保証履行請求訴訟をし、勝訴判決を取って、保証人の資産を差押え、その資産を処分して・・・、と多くのプロセスを踏むことになります。
特に、裁判手続で勝訴判決まで進んだにも関わらず、保証人に支払いのための資産がないといったケースでは、これまでの労力に対して何の意味もありません。
こうした事態を起こさないよう、日頃から保証人の資産状況に注意を配り、保証の実行性を確認することが大切です。
ただし、どんなに目を光らせていても、万一の時は資産の「名義替え」「譲渡」がなされてしまうこともよくあります。
こうした事態を避けるためにも、紙の「保証」ではなく、個人から「物的担保」が取れないかを検討・交渉することが大切です。
おわりに
それぞれの担保の特徴についてご理解いただけたでしょうか。
担保が取れたとしても、求める価値が大幅に下がってしまうような担保を取ってしまっては損をしてしまいます。
すべて担保に共通することですが、担保を取る際はその実行性と担保価値に注意し、慎重に判断する必要があります。
今回ご紹介した内容が、損のない担保の獲得にお役立てできれば幸いです。
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