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与信管理の知恵袋 Vol.35 与信管理・債権管理のプロセスについて(前編)
こんにちは。MCC与信管理ラボ編集部です。
今回は、実際の与信管理、債権管理のプロセスについて、前編と後編に分けてご紹介します。
与信管理、債権管理のプロセスは大きく4つに分類できます。
- 信用状態に応じた取引先の選別と日常の与信管理
- 平常時の債権管理
- 債権の期日管理
- 緊急措置(緊急時の債権管理)
前編では、「信用状態に応じた取引先の選別と日常の与信管理」と「平常時の債権管理」について整理していきます。
1.信用状態に応じた取引先の選別と日常の与信管理
①信用情報の収集
取引先を選別する上で、与信管理のファーストステップは情報収集をすることです。
販売先の情報には下記のような種類があります。
・決算書からの情報(業績・財務内容)
・商業登記簿からの情報(会社形態、住所、役員等)
・不動産登記簿からの情報(所有不動産、担保設定状況等)
・信用調査機関からの情報、及び営業マンからの情報(往訪時のヒアリング情報)
②取引先の格付による選別
続いては、①で紹介した信用情報を総合分析して、販売先の選別をしていきます。
その際、すべての取引先に対して、常に情報を収集し、分析や選別をすることは、効率的とはいえません。
より効率的で合理的な管理手法として、多くの企業では「格付による選別」が採用されています。
格付による明快な与信判断基準の導入によって、主観や感情等で選別基準がぶれることなく、効率的で内容の濃い審査業務が実現可能です。
2.平常時の債権管理
①与信限度管理と往訪の重要性
多くの企業で採用されている与信管理方法は、「与信限度管理」です。
「与信限度管理」とは、取引先毎に「与信限度額=販売代金債権のピーク枠」を設けて、その限度範囲内で取引を行うものです。
日常の与信管理、債権管理の基本は、下記の項目を常にモニタリングすることです。
<債権管理においてモニタリングする項目>
・与信限度内で債権額が収まっているか
・支払期日通りに支払がなされているか
・与信限度先の信用状態に「変化」がないか
万一、悪い「変化」が見られた時は、機会を逃さず、販売の縮小や撤退を実行したり、担保取付け等の債権保全策を講じたりすることがとても大切です。
販売先の「変化」を知るためには、日頃から取引先に出向き、取引先の「常態(平常時)」を知っておくことも大切な与信管理といえます。
②与信管理、債権管理の要諦
支払遅延が起きている時、与信限度オーバーが起きている時は、新たな契約も追加の出荷もすべきではありません。
支払遅延という明らかな「予兆」が出ているのに、契約額、債権額を増やすのは「追い銭」になりかねません。
また、与信限度オーバーが起きている時も、商売が増えているのではなく、他社が撤退しつつあるため、その肩代わりの商売がまわってきていることも考えられます。
企業によっては、与信限度オーバーや、支払遅延が発生している取引先とは、新たな出荷指図ができないシステムの仕組みにしている企業もあります。
おわりに
適切な審査方法で選定された企業との取引でも、日々のモニタリングの重要性は言うまでもありません。
様々な状況も考慮しながら与信管理、債権管理をしていくことになりますが、今回ご紹介した基本姿勢を押さえて応用、実践することが大切です。
後編では、「債権の期日管理」「緊急措置(緊急時の債権管理)」について整理していきます。
与信管理・債権管理のプロセスについて(後編)につづく
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