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与信管理の知恵袋 Vol.29 与信管理は時代で変わる
こんにちは。MCC与信管理ラボ編集部です。
時代の変化に柔軟に対応することは、すべての企業に求められる課題です。
与信管理の方法についても、時勢の潮流に合わせて見直していく必要があります。
今回は、市場動向や外部環境などが与信取引に及ぼす影響や、その対応策についてご紹介します。
与信取引に影響を与える要因1:市場動向の変化
消費者の市場動向が変われば、商品・サービスの製造や販売に関わる企業は、変化に沿った対応が求められます。
また、為替や金利など金融市場に変化が起これば、影響を受ける企業は少なくありません。
税制変動や法規制変更などについても、同様のことが言えます。
当然ながら、これらの変化は与信取引にも大きな影響を与えるものと考えられます。
さらに、資金調達などの財務関連リスクや、人材の流出などの人事リスクが取引先企業に発生し、経営に影響を及ぼす可能性もあります。
与信取引に影響を与える要因2:外部環境の変化
地震や水害といった災害や、テロなどの社会的事件の発生は、多くの企業に影響を与えます。
また、製造物責任を問われる事故や、情報漏えいをはじめとするセキュリティー事故が発生すれば、莫大な損失を被ります。
さらに追い打ちをかける形で、デマや中傷による風評被害が発生した場合、顧客からの信用を失ってしまうこともあるでしょう。
こうした外部環境の変化によるリスクが、最終的に取引先企業を倒産に追い込む可能性は十分に考えられます。
これまで安定経営をしていた取引先企業であっても、いつ不測の事態が起こるとは限りません。
したがって、これらの要素についても与信取引を行う際に考慮する必要があります。
時代の変化に対応できる与信管理とは
安定した経営と売上の最大化を図るためには、自社と取引先企業を取り巻く状況の変化をいち早く察知し、その時々に合わせた与信管理を行うことが重要です。
対応策①:取引先企業のモニタリング(常時信用変動の調査)を行う
与信管理を行う際は、新規取引先の与信判断や年に一度の取引条件の見直しだけでなく、モニタリング(常時信用変動の調査)を怠らずに続けることが大切です。
モニタリング(常時信用変動の調査)を続けることで、経営状態の悪い取引先企業の実態だけではなく、安定経営ができている取引先企業の情報についても更新することができます。
優良企業の動向について把握できれば、同じ企業でも新たなビジネスチャンスを発見することができます。
また、既存取引先企業の信用度合の改善が確認できれば、取引額拡大も狙えるでしょう。与信管理にはこのような「攻め」の側面もあり、それを十分に活用することが、時代変化に対応するためのポイントになります。
対応策②:与信管理プロセスの見直し・改善を継続的に行う
まずは過去の取引などの情報を基に振り返りを行い、その上で新たな与信管理ルールを作成します(Plan)。
その後、規定に基づくリスク対策を実施し、決裁まで進みましょう(Do)。
その結果、リスク対策が実施され、かつ与信管理ルールが有効に機能したかをチェックします(Check)。
経営陣が監査結果を踏まえてレビューを行い、最終的に次の目標設定に向けた改善(Act)を実施します。
おわりに
時代とともに与信管理のシステムも変わります。現在の仕組みに固執するのではなく、PDCAサイクルを回して、与信管理プロセスの見直し・改善を図ることが重要です。