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与信管理の知恵袋 Vol.28 与信管理教育のすすめ
こんにちは。MCC与信管理ラボ編集部です。
与信管理の担当部署は、社内において与信情報の共有を図るとともに、社員に対する与信管理教育を継続的に実施する必要があります。
今回は、与信管理教育の重要性や営業担当者・与信審査担当者に求められる知識とマインドをそれぞれご紹介します。
与信管理教育の重要性
他社と与信取引をするということは、何らかのリスクをとるということを意味します。
与信上、まったく不安要素のない取引先企業のみと取引を行うことも選択肢の一つですが、消極的な営業活動ではビジネスの拡大は見込めません。
したがって、与信管理によって与信リスクをマネジメントしながら、積極的に与信取引を続けることが必要です。
与信管理教育は、与信管理に必要な知識・マインドの双方を周知・定着させる取り組みです。
該当部門はもちろん、社員一人ひとりに与信管理教育を実施することで、組織に与信管理や債権保全に関する基礎知識が蓄積されていきます。
正しいマインドが身に付けば、リスクと積極性のバランスがとれた営業活動が行えるようになるでしょう。
営業担当者と与信審査担当者は、特に与信管理教育の実施が求められますが、身に付けなければならない知識とマインドには違いがあります。
以下では、営業担当者と与信審査担当者に必要な知識とマインドについてご紹介します。
営業担当者に必要な知識とマインド
営業担当は取引先企業と直接やりとりすることから、企業訪問時の情報収集において重要な役割があり、常に情報感度を高く持つことが求められます。
たとえば、以下は営業担当者だからこそ収集できる情報と言えるでしょう。
< 営業担当者が収集可能な情報 >
・経営者の資質や能力
・取引先の社内の雰囲気
・在庫状況の変化
・取引先企業に商品を納品している競合他社の動き
・取引先企業の社長や経理部長がメインバンク関係者と頻繁に接触していないか
・破産や民事再生法の申請を見据えて、弁護士が出入りしていないか
営業担当者は、上記に述べたようなチェック項目に基づいて情報収集を行ったり、気付きがあれば与信審査担当者に伝えたりします。
こういった情報収集を日常的に行う上で、与信管理の重要性を正しく理解していることが前提となります。
ご参考:「営業担当者が行う与信管理」に関する記事
営業担当者が与信管理の観点から確認すべき6つのポイント
営業担当者の情報収集が与信管理の鍵になる~与信管理における営業部門の役割~
与信審査担当者に必要な知識とマインド
与信審査担当者は、与信管理におけるブレーンとして機能します。
与信審査担当者の決定や指示によっては、営業担当の活動を制限することもあるため、状況に応じた的確な判断が求められます。
そういった理由から、与信管理のみならず幅広い分野に精通し、あらゆる情報を総合して取引にかかわる意思決定を行うことが必要となります。
新人の与信管理担当者が身に着けておきたい能力
前述した能力は、新人の与信管理担当者にとってはやや高度と言えるかもしれません。
まずは、日々の業務のなかでさまざまな与信審査案件に触れ、情報収集能力や信用調査能力を重点的に高めていくと良いでしょう。
さらに、倒産法への理解や登記簿の取得方法、手形や小切手の仕組みなど基礎的な法律・担保に関する知識も業務に役立ちます。
加えて、利用する信用調査会社の特徴についても押さえると、各段に業務を進めやすくなります。
特に、海外取引先の調査レポートを取り付けて調査・分析を行う場合は、調査会社によって取得可能な情報が大きく異なるため、調査会社の特徴を理解したうえで比較・検討を行うことが重要です。
中堅の与信管理担当者が身に着けておきたい能力
中堅の与信審査担当者になると、さらに高度な会計・法律を理解していること、また、信用調査会社の調査方法やその限界について把握していることが必要です。
さらに、与信管理で浮かび上がった課題を経営方針に取り入れることも多いため、経営的な視点を持っていることが理想です。
おわりに
今回は、与信管理の重要性と営業担当や与信審査担当者に求められる知識・マインドについてご紹介しました。
適切な与信管理を行うためのカギとなる与信管理教育ですが、「社内にノウハウが蓄積されていない」、「与信管理に詳しい社員がいても、その知識を社内全体でシェアするためのリソースが不足している」という企業様は少なくありません。
そういった場合は、営業担当や与信審査担当者をはじめ社内全体に与信管理に求められる知識やマインドを定着させるため、与信管理に関するセミナーや研修に参加することがおすすめです。