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与信管理の知恵袋 Vol.24 与信管理業務の繁忙期と対策(前編)
こんにちは。MCC与信管理ラボ編集部です。
与信管理業務にも繁忙期とされる時期があり、この時期の与信管理業務を上手に対処し貸倒れリスク(信用リスク)を低減することが非常に重要です。
今回は、与信管理業務の繁忙期とその対策について解説します。
与信管理業務の繁忙期はいつ?
企業間取引における与信管理業務の繁忙期は、7月から10月頃が一般的です。
その理由は、過去に設定した与信限度額(与信枠)をはじめとした取引条件について、この期間に一斉見直しが行われるためです。
与信限度額(与信枠)や与信期間(代金の回収期間)の再設定、取引条件の見直しは、取引先の経営状況に変化が確認された時に行うことが原則となります。
取引先企業の経営状況が定期的かつ客観的に確認できるのは、取引先企業が決算期を迎え、財務情報が更新された時です。
日本企業の決算期は「3月末」であることが多いため、決算情報が開示され、(調査会社経由、ウェブ上、直接取り付け等の方法で)決算書やその他の情報取得が可能になる7月~10月が与信限度額(与信枠)の見直しに適した時期といえます。
決算日から情報取得までにタイムラグが生じる理由
前段で、「日本企業の決算期は3月末であることが多い」一方で、「情報取得が可能になるのは7月~10月頃」とお伝えしました。
では、この数か月間のタイムラグはなぜ生じるのでしょうか。
みなさんもよくご存じのとおり、財務情報は決算日が到来すればすぐに出来上がるものではありません。
決算日が到来した後、様々な経理処理を行い決算書が作成されます。
加えて、その決算内容が外部機関に公開されるとなると、自社が取引先企業の財務情報を確認するまでには、決算日から4か月~6か月程度の時間を要することになります。
そのため、与信限度額(与信枠)や取引条件の見直しのタイミングを取引先企業の決算期から6か月~7か月以内とすることを、自社の与信管理業務のルールとして定めるケースが多いようです。
上記の理由から、主に決算期が3月末である取引先の与信限度額(与信枠)の見直しが7月から10月頃に集中し、多くの与信管理業務担当者にとってこの時期が繁忙期となります。
(お盆休みをはじめとする長期の夏期休暇により稼働日が少なくなることも、繁忙状況に影響しているかもしれませんね・・・)
与信管理業務の繁忙期をどう乗り切る?リスクを抱えないためにできること
与信管理業務が特定の時期に集中するといっても、与信管理業務のピークにあわせて与信管理(審査)部門に人員を配置することは、残念ながら、現実的な対策とは言えません。
与信管理業務は専門的な知識やスキルを必要とするため、他部署から一時的にマンパワーを割いてもらうことも困難です。
しかし、業務に追われて分析不足となったり、重要情報を見落とすようなことになったりすると、思いもよらないリスクを抱える危険性があります。
そのため、与信管理業務の繁忙期を見越した対策を講じる必要があるのです。
「与信管理業務の繁忙期と対策(後編)」につづく