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与信管理の知恵袋 Vol.23 営業担当者の情報収集が与信管理の鍵になる~与信管理における営業部門の役割~
こんにちは。MCC与信管理ラボ編集部です。
企業が適切な与信管理を行うためには、社員一人一人の正しい理解が必要です。
与信審査担当者だけでなく、経営層や営業担当者が与信管理に対して高い意識を持つことが求められます。
今回は、与信管理の考え方において重要な点と、与信管理における営業部門の役割についてご紹介します。
与信管理は全社的な取り組みが必要
与信管理をせずに、とにかく売上を立てるだけ立てる方針で事業を進めた場合、ある一定の時点では大きな利益を得られるかもしれません。
しかし、一部の取引先企業による代金未回収が発生した場合は、企業の経営状況に影響を及ぼします。
もっとも懸念されるのは取引先企業の倒産による連鎖倒産です。
焦げ付きや貸し倒れによる損失を取り戻すための営業活動の負担、あるいは大口先からの代金未回収の発生によって、キャッシュフローが悪化します。
借り入れによって当面の資金繰りを確保できても、そこから売上を回復できなければ、倒産してしまうケースもあるでしょう。
このように、たった一つの未回収債権がきっかけとなり、連鎖倒産に追い込まれる可能性もゼロとは言い切れません。
与信管理は全社で取り組むべき課題なのです。
参考記事:
与信取引に潜むリスクとは?焦げ付きや貸し倒れが発生した場合に生じる4つの損失
与信管理における営業部門の役割
営業担当者として数値目標の達成に意識が向かい、与信管理への意識が希薄になってしまうこともあるでしょう。
しかし、取引先企業と直接やり取りできる営業担当者だからこそ、判断できる要素があります。
与信管理における営業部門の基本的な役割として、以下が挙げられます。
与信管理における営業部門の役割1:取引先企業の存在確認
まずは、「そもそも取引先が本当に実在しているのか?」という基本的な事項を確認します。
ホームページなどで公開している所在地まで実際に足を運べば、取引先の企業やNPO法人が架空かどうか、存在確認ができます。それに加えて、商業登記簿の確認、事業実態の把握などを含めたチェックを行いましょう。
与信管理における営業部門の役割2:事業内容や不審点の確認
取引先企業を訪問した際は、従業員がしっかりあいさつをするか、応接室が華やかすぎないかなどを見ます。
また、執務スペースにはデスクやパソコンがあるかなど、通常業務が行われているかをチェックしましょう。
さらに、取引先企業の社長や担当者がきちんと商品やサービスについて説明できるか、名刺に記載されている肩書、写真、プロフィールに不審な点がないかなども確認します。
与信管理における営業部門の役割3:売上と商品・サービス内容の確認
信用調査会社からの情報を基に売上規模を推測し、取り扱う商品やサービスの詳細を訪問時にヒアリングします。
ただし、露骨な情報収集は取引に支障が生じることも考えられるため、雑談の中でさりげなく尋ねる程度にとどめておきましょう。
また、主力商品やサービスに関する情報は、与信管理において取引先企業の経営状態を判断するための参考材料となります。
事前に情報を調べておき、取引先担当者に確認しましょう。
一方的な情報収集ではなく、事前にリサーチした上でのヒアリングは、取引先企業との信頼関係を構築する上でも役立ちます。
営業担当者の情報収集が与信管理の鍵になる
営業担当者は取引先企業にもっとも近い立場にあり、与信審査担当者が得られない情報を入手できるため、営業担当者の情報収集が与信管理の鍵となります。
また、与信管理は代金回収まで続きます。営業担当者は取引先企業を訪問する機会が多く、そこで実際に何らかの異変に気付くこともあるでしょう。
この「気付き」が非常時の早急な対処につながります。
おわりに
今回は、与信管理において営業部門の協力が必要であることについて解説しました。
社内に与信管理の重要性を周知することが欠かせませんが、特に取引先企業と最初に接点を持つ営業担当者は、与信管理における営業部門の役割を理解することが重要です。
営業担当者と与信審査担当者が連携し、営業活動を通して得られた取引先情報を与信管理に活用できるような仕組みを作りましょう。
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