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与信管理の知恵袋 Vol.14 与信限度額(与信枠)の考え方と算出方法

与信限度額を検討する担当者

こんにちは。MCC与信管理ラボ編集部です。

企業間で行われる与信取引は、商品を納品してからその対価が支払われるまでにタイムラグがあります。
そのため、納入先の経営状況の悪化等により代金を回収できない可能性があります。

このリスクを軽減するために設定するのが、与信限度額(与信枠)です。

今回は、与信限度額(与信枠)の考え方と算出方法についてご紹介します

与信管理における与信限度額(与信枠)とは

与信管理において、取引先企業ごとに設定する売掛金や受取手形の残高の上限額を「与信限度額(与信枠)」といいます。

原則として、与信限度額(与信枠)は有効期限を定めており、有効期限の間は決められた与信限度額(与信枠)を超える取引は行いません

また当然ですが、有効期限が終了すると与信取引は行えません

なお、販売額の増加などによって与信限度額(与信枠)を超過する場合は、再度与信調査を行った上で検討が必要になります。

近年は与信取引が企業間の一般的な取引形態になっているため、焦げ付きや貸し倒れを回避するために、与信限度額(与信枠)を設定する企業が増えています

与信限度額(与信枠)の算出方法

与信限度額(与信枠)は、何を指標とするかによってさまざまな算出方法があります。

たとえば、自己資本、利益水準など自社の財務情報を基準としたリスク許容量や、取引先企業の企業規模、自己資本、業績等を指標とする方法などです。

一般的には、毎月の販売予定額に与信期間(回収サイト)を掛け合わせた金額をベースとして、与信限度額(与信枠)を検討することが多いです

手形取引を行う場合の与信限度額(与信枠)の算出方法

与信取引においては、売掛金だけでの取引ではなく、一部またはすべてが手形取引になる場合があるため、今回は計算方法が複雑になる手形取引の場合の計算方法を紹介します。
この場合、以下の計算式で算出されます。

(月の販売予定額×売掛期間の月数)+ (月の販売予定額×手形期間の月数)

仮に、月の販売予定額が300万円で「月末締め翌月末振出、振出日起算90日後手形」という条件とします。

手形は翌月末から90日後に現金化できるということですので、与信期間(回収サイト)は売掛期間の月数:2カ月、手形期間の月数:3カ月となります。
計算式は、

(300万円×2カ月)+(300万円×3カ月)=1,500万円

です。

さらに、変動見込みを500万円未満として考えると、与信限度額(与信枠)は1,500万円~2,000万円となります。

上記の算出方法は、あくまでベースの考え方です。
最終的な与信限度額(与信枠)は、自社の企業規模や収益性、リスクの許容度などを考慮に入れながら、慎重に判断することが重要です。

与信限度額(与信枠)のガイドライン・有効期限の設定

与信限度額(与信枠)は、算出された額が常に適正であるとは限りません。

そのため、自社の財務状況や与信方針に基づいた与信限度額(与信枠)の上限を、ガイドラインとして設定しておくことが大切です。

ガイドラインを設定しておくことで、自社の与信管理における「基準」ができるため、リスクの許容量を超える過大な与信取引や、債権の過度な集中を事前に回避できます。

また、与信限度額(与信枠)は有効期限の設定が重要です。

取引先企業の財務状況は常に変化する可能性があるため、与信限度額(与信枠)範囲内で与信取引が行われていれば安心してよいということではありません。

有効期限を迎えた際は取引条件の見直しを行い、常に取引先企業の信用変動を調査する必要があります。

与信限度額(与信枠)を算出する際は、与信管理サービスを利用することで、まざまな角度の指標から分析した格付データや倒産確率などの情報を得られることがあります。

取引先企業の情報を得ることが難しい場合や、自社に十分なデータが蓄積されていない場合、与信管理サービスを利用して適切な与信限度額(与信枠)を算出することをおすすめします

おわりに

企業が売上・利益の最大化を実現するためには、積極的な営業活動や取引増加が求められます。

しかし、取引先企業の与信リスクを考慮せずに与信取引を行うと、代金が回収できないリスクが増大することになります。

リスクと利益のバランスを適切に保つために、安全に取引ができる与信限度額(与信枠)を設定することが大切です

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与信限度額の設定に関するコンサルティング事例

与信限度額や与信審査基準の設定に関するコンサルティング事例を下記に記載しております。
ぜひご覧ください。

事例1:
煩雑化した与信管理業務を整理し、少人数で多くの取引先を管理できる与信管理体制を構築(情報通信業)

事例2:
延滞管理中心の体制から、予防としての与信管理の導入へ。約20%の貸倒削減を実現。(食品製造業)

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