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与信管理のプロが教える財務分析のしかた Vol.6 運転資金を計算

財務比率を計算する電卓

こんにちは。MCC与信管理ラボ編集部です。
今回は、回転期間を用いて、運転資金の効率性について解説します。

運転資金とは?

前回の記事で説明した資産・負債の回転期間から、企業の所要運転資金を計算することができます。

運転資金とは、原材料・商品等を仕入れてから支払いを行うまでの期間と、仕入れた原材料・商品を一定期間在庫として保管し、商品・製品を売り上げて代金を入金するまでの期間の時間的なズレを補うための必要資金を言います。

運転資金の計算式

運転資金は以下の計算式で求められます。

運転資金 = 売上債権残高(売掛金・受取手形) + 棚卸資産残高 – 仕入債務残高(買掛金・支払手形)

ここで、前回の記事に記載した例では、売上債権回転期間が46日、棚卸資産残高が73日、仕入債務回転期間が61日と算出されました。

したがって、運転資金の負担期間を計算すると、

運転資金負担期間 = 売上債権回転期間 + 棚卸資産回転期間 – 仕入債務回転期間
         = 46(日) + 73(日) – 61(日)
         = 58(日)


つまり、この場合、58日分の運転資金が必要となります。

仮に、年間売上高を100百万円とすると、必要となる運転資金は、

100(百万円) × 58(日) ÷ 365(日) ≒ 16百万円

となり、約16百万円の運転資金が必要です。

計算式からも分かるように、売上債権と棚卸資産の合計額が仕入債務より多ければ、運転資金の調達が必要となります

一方、売上債権と棚卸資産の合計額が仕入債務より少ない場合には、運転資金を調達する必要はなく、売上債権の回収で仕入債務の支払いを賄うことができます

運転資金の調達は、借入金で賄うことが多く見られます。

財務内容が良好で、運転資金の全てを自社の現預金で賄う企業もあれば、状態によって借り入れも困難な企業もあります。

運転資金を減らす方法

運転資金を減らす方法は色々ありますが、まずは債権の回収を早めることが挙げられます。

とりわけ、支払いが遅延している取引先に対しては、約定通りの決済を行う様申し入れることが必要です。

不渡りを懸念して手形を振り出さない企業がありますが、このような企業は期日現金払いとなるため、意図的に支払いを遅らせることがあります。

申し入れを行っても支払いが遅延するのであれば、遅延損害金を請求します。契約に定めていない場合でも、法律上は、商事債権に対して年間6%の遅延損害金の請求が可能です。

こういった交渉を粘り強く行い、少しでも回収遅延金額を減らすことが重要です。

1ヶ月分の回収遅延を解消することができれば、相当分の運転資金を減らすことができ、その結果、借入金の返済も可能となり、更には金利負担も抑えることができます。

回収遅延を解消するだけで、資金面・損益面でのメリットを得ることができるのです。

「与信管理のプロが教える財務分析のしかた Vol.7 取引先の資金繰りをチェック」に続きます。

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