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与信管理の知恵袋 Vol.7 与信管理の仕事内容(後編)【 与信判断、モニタリング(常時信用変動の調査)、営業部門からの個別相談 】
こんにちは。MCC与信管理ラボ編集部です。
「与信管理の仕事内容(前編)」 では、与信調査・審査における信用情報の収集、信用情報の分析の具体的方法について解説を行いました。
後編では、意思決定を行う際のポイントや与信を行った後の業務についてお話します。
この記事で分かること
・ 与信判断を行う際のポイント
・ 与信限度額を設定する際の注意点
・ モニタリング(常時信用変動の調査)の概要
・ 営業部門からの個別相談に対応する際のポイント
前編 信用情報の収集と分析
前編では、特に企業取引の「入口」で重要な、与信審査や取引先の信用調査について解説しました。
前編「信用情報の収集と分析」の主な内容
・ 信用情報の収集方法について
・ 信用情報の分析手法について
後編 与信判断、モニタリング(常時信用変動の調査)、営業部門からの個別相談
当記事では、新規取引時に特に重要となる「与信判断」と「与信限度額の設定」、継続取引を行う際に重要となる「モニタリング(常時信用変動の調査)」について解説します。
後編「与信判断、モニタリング(常時信用変動の調査)、営業部門からの個別相談」の主な内容
与信判断
・ 与信限度額(与信枠)の設定
・ 決済条件の設定
・ 与信の有効期限
・ 担保・保証等の条件、その他の条件
・ 信用情報の分析
モニタリング (常時信用変動の調査)
営業部門からの個別相談
与信判断
信用情報の収集・分析が終わると、それらを基にまず与信を行うべきかどうかを判断します。
また、与信を承認したとすると、次は以下を具体的に定めることが必要になります。
与信承認後に定める各種条件
1.与信限度額(与信枠)
2.決済条件
3.与信限度額(与信枠)の有効期限
4.担保・保証等の条件
5.その他の条件
以下で詳しく見ていきます。
1.与信限度額(与信枠)
毎月の販売予定額に与信期間(回収サイト)を掛け合わせた金額をベースとして、与信限度額(与信枠)の検討を開始することは多いと思われます。また、それ自体に大きな問題はありません。
しかし、最終的な与信限度額(与信枠)は自社の企業規模や収益性、リスク許容度などを考慮にいれながら慎重に決定することが重要です。
2.決済条件
決済条件は、与信期間(回収サイト)が業界内の慣行などと比べて乖離していないかを確認します。
また、売掛金だけでの取引ではなく、一部または全部について手形取引を求めるべきか等の検討が必要になります。
3.与信限度額(与信枠)の有効期限
与信限度額(与信枠)の有効期限は、必ず決めておかなければなりません。
与信限度額(与信枠)が承認された時点で優良な取引先であったとしても、その後経営状況が悪化し貸倒れリスクが急速に高まることがあるからです。
一般的には取引先企業が新たな決算期を迎えてから○ヶ月(※業界等の事情により4~6ヶ月)以内という様に有効期限を決めるケースが多いと思われます。
また、スポット的な取引のために一時的に与信限度額(与信枠)を承認するならば、スポットでの取引分が回収されるまでの有効期限とするべきです。
4.担保・保証等の条件
担保・保証等は、特に信用情報の分析結果が良くなかった取引先企業に対して検討が必要な、事前の債権保全策となります。
具体的には、保証金の取付け、定期預金の質権設定、不動産への(根)抵当権設定、親会社の保証取付けなどがありますが、特に近年は販売先である企業やその他の団体から担保・保証を取り付けるケースが減少している様に思われます。
その代わり、自社で貸倒れに対するリスクヘッジを行う事例が増えている様です。
5.その他の条件
その他の条件には様々なものがあります。
例えば、信用情報の分析結果が良くなかった取引先に対して与信を承認する代わりに、定期的に取引先企業から経営状況の説明・報告を受ける条件を付すという様なものです。
特殊ではありますが、画一的すぎる与信管理で商機を逃さないようにする為には必要な対応とも言えます。
モニタリング(常時信用変動の調査)
与信限度額(与信枠)の有効期限を決定しても、取引先企業の経営状況が何らかの理由により急速に悪化することがあります。
そのため、日常的に取引先企業の監視を行い、信用変動を捉えることで、信用不安情報をいち早くキャッチして対応を行うことがモニタリング業務になります。
※モニタリング業務に関する記事:与信管理におけるモニタリング(常時信用変動の調査)の重要性と6つのモニタリング項目
営業部門からの個別相談
営業部門から与信管理担当者には色々な相談が持ち込まれます。
例えば、取引増加に伴う与信限度額(与信枠)の増額、取引先企業の資金繰り悪化による与信期間(回収サイト)条件の緩和交渉、過去に取付けた保証金や担保の返還要請への対応など、事案によっては非常に繊細な対応を求められる事も多々あります。
日常から営業担当者と情報・意見交換を円滑に行っておき、緊急時には営業部門と緊密に連携した素早い行動を行うことは、与信管理担当者に求められる重要な能力と言えます。
おわりに
いかがでしたでしょうか。与信管理業務は信用情報の収集、分析だけでなく判断やコミュニケーション能力が求められる奥深い業務と感じて頂けたのではないでしょうか。
各業務のより詳細な内容や業務を行う際のポイントについては、当社が開催する与信管理セミナーでもお伝えしています。
ぜひ参加をご検討ください。